「イスラムを生きる人びと」
みなさん、こんにちは。
常見藤代です。
今日はイスラム関係の本をご紹介します。
イスラム中東関係の本というと、イスラム教を宗教として解説した本がほとんどだと思うのですが、そんな中で本書は、一ジャーナリストが、イスラム教徒として生きる人々にスポットを当てて書いた本。
イスラムがどのように生活に根付いているか、人々は暮らしにどのようにイスラムを生かしながらくらしているかを、
17年間新聞記者として中東にかかわる中で、インタビューを行いまとめた渾身の作とも言える書です。
日本で宗教というと、日常の生活から切り離された、特別なものと思われがちですが、
イスラムという宗教はそうではなく、日々の暮らしに密着しているものです。
「日本人にとっては宗教とはいえない領域にまでイスラムが関わってくる」(37ページ)のとおり。
それがよく表れているのが、ここに描かれたエジプトのアズハルモスクの
イスラム学者による「ファトワ」(宗教見解)です。
人々の悩みについて、イスラムの見地からアドバイスするのですが、
その相談の多くは夫婦関係。
「結婚したばかりの妻と口論ばかりで、妻は離婚したいという。どうしたらいいか」
など。 まるで○○新聞の人生相談欄を読んでいるよう。
イスラムと結びつけられて考えられがちな、名誉殺人、女子割礼なども、
イスラムとは関係がない、ということにも本書で触れられています。
名誉殺人は中東だけでなく、アジア、南米、スペインでも行われているし(123ページ)
割礼もイスラム教徒だけでなくキリスト教徒の間でも、さらに中東に加え、アフリカ諸国でも行われています。
にもかかわらず、なぜそれらが、あたかもイスラムで勧めているかのように是認されてきたのか
ー著者のユニークで鋭い洞察に基づいて解説されている点がとても興味深い。
イスラムでは女性は差別されていると欧米では非難されているが、本書では必ずしもそうでないことも記されています。
「イスラムでは女性は男性から守られ、庇護される存在」(79ページ)
「夫婦の間でも女性の財産権は保証され、女性ガ実家から与えられた持参品は結婚しても彼女個人の所有となる」など。
ヨルダンの女性市長、自ら離婚を申し出た女性など、
男性の記者ながらも、多くのイスラム女性にインタビューし、
その心情を描き出している点も特筆できます。





